エピソードWN-1 朱鷺と鳥木

昔、祖父にきいた話です。祖父の父、私の曽祖父あたりまで、元々猟師をしていたんだそうです。そのころは、能登に朱鷺が生息していて、顔が赤いから食べたら長生きするという誤解を受けていたため高い値段で売れた、それと、トキは沼や湖のそばの木にとまって、餌が動くのをみていて、猟師に狙われていても気づかないから、簡単に撃てる、だから今はいなくなってしまったんだ…と言うような話でした。祖父の話がホントかどうかわかりませんし、記憶もあいまいです。しかし、私にはそのころから、朱鷺を絶滅させた家系なのでは…という後ろめたさがずっとあります。祖父と一緒に暮らしていた叔父が野鳥の会に入っている、ときいても、「うんうん、わかるよ、わかる」などと勝手に思っていました。

 顔や羽が赤いというだけで、誤解を受けて、狙われて、しかしそれに気付かずに、木に止まっていて、大好きなドジョウがニョロっと動くのを待っていて、撃たれていく朱鷺…なんだかとっても鈍(どん)くさい、ダサい、損をしている…社会に出てから、色々と自分の脇の甘さを感じてきましたが、なんだか通じるところがある感じがして、私にとって何かと気になる鳥でした。 そんなこんなで、自分の苗字「鳥木」って、朱鷺と関係があるのかも、ともいつしか思うようになってきました。根拠としては、まず鳥木という苗字は珍しいのですが、その分布が朱鷺の絶滅前の生息地と結構重なること(能登や新潟と京都の北、東京などは移住によるとおもうので除外)。次に、鳥屋(とや)・鳥栖など、鳥を「と」と読むことがあるので、鳥木はトキとも読めそう。鳥が止まっている木=鳥木(とき)と呼ばれていた。それから、その鳥自体も鳥木(とき)➞朱鷺となり、鳥を撃っている猟師も苗字が必要になったから「鳥木」となのった、とかだったりして…と、勝手な妄想を楽しんでいます。

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